会社のさまざまな相談に対応する
2010年02月23日
- 会社法施行による従来からの変更点
昨年五月一日に会社法が施行されてから、これに関する相談が増えている。
中でも、会社の実情にあわせ、定款をどのようにすればよいのかの相談を受けることが多くなった。
設立の相談では、「資本金をいくら用意すればよいか」といった相談が多いが、「金額はあなたが決めることですよ」といった対応では依頼者の足が遠のいてしまう。そこで、私は「資本金は可能であれば300万円以上は準備したほうがよい」とアドバイスしている。登記手続に関する費用だけでも30万円以上は必要で、300万円程度の純資産がないと、剰余金の分配もできないし、対外的な信用というものもあるからである。
また、取締役の任期の相談も多い。公開会社でない会社の取締役の任期は、最大10年まで伸長することができる。だが、第三者の出資者や長年会社に貢献した社員を役員にしている会社では、任期中にその者が会社にとって不都合になり解任すると、残任期分の報酬を損害賠償として支払わなければならなくなるおそれがある。このようなことから、任期は原則として二年なので、その原則に従うか、長くても監査役の任期が原則として四年なので、それに準じるのがよいのではないかと助言している。
会社法においては、取締役会を設置するかどうかは、定款により定めることができることとされた。そのため、通常、取締役会で決議するような事項についても、取締役会を設置しない会社は株主総会で決議する必要がある。株主が少数で、安定している会社であれば容易に臨時株主総会を開催できるが、数十名の株主がいる会社が開催するには、面倒な手続が必要になるため、取締役会は設置しておいたほうがよい。
私は、依頼者が会社をどのように運営していきたいかをじっくり聴き取り、相談に応じている。定款作成を依頼された場合、会社法により変更になった立法趣旨を説明し、そのメリットとデメリットを示すことにしているため、依頼者が納得する定款に仕上げるには非常に時間がかかる。
そして登記申請をするにつき、たとえば、1.取締役会廃止、2.取締役の退任、3.株式譲渡制限会社の譲渡承認機関を株主総会へ変更する登記をする場合、登録免許税が7万円必要になることを説明する。依頼者の中には「それだけ経費が必要なら考え直す」と中断するケースもある。
- 依頼してくる会社のパターンにあわせた業務
商業登記の申請を依頼してくる会社は、大きく分けて、1.自社で議事録などを作成するケース、2.税理士事務所から顧問会社の登記申請を依頼されるケース――この場合、税理士事務所が議事録などを作成してくる場合と、要領を指示して議事録などは当事務所で作成する場合がある、3.会社から直接書類作成を依頼されるケースの三パターンがあるが、それぞれ相談の関与度が異なる。1の場合、株主総会招集通知案までチェックを依頼される会社もある。
会社法施行規則には、株主総会参考書類に記載しなければならない事項が細かく定められている。たとえば、役員選任議案は候補者の氏名、生年月日、略歴、候補者が当該会社の株式を所有しているか、会社と特別の利害関係があるか等を記載しなければならない。そうした記載が抜けていないかをチェックすることになる。
前記2の場合は、要領よく指示があるので手間はかからない。3のケースは依頼者が会社をどのように運営したいかを聴き取り、議事録以外定款まで作成するケースが多く、時間がかかる。
このように会社法務といってもさまざまな対応が求められる。司法書士としてやりがいを感じるとともに、依頼者に適切な説明、助言ができるよう日々研讃に努めている。
司法書士とともに奮闘する司法書士会
2010年01月26日
- 司法書士会とは
今回は我々司法書士が必ず登録しないと業務が行えない司法書士会活動について紹介しよう。
司法書士が司法書士業務を行うためには、日本司法書士会連合会に備える司法書士名簿に、所属する司法書士会を経由して登録を受けなければならない。
司法書土会は法務局または地方法務局の管轄区域に一会設立された司法書士法上の法人で、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導および連絡に関する事務を行っている。
そして、その会則に定められた事業の一つに「国民に対して司法書士が提供する法的サービスの拡充に関する事項」を掲げている。
- 具体的な社会問題への取組み
司法書士会は、以下のような取組を具体的に行っている。
(1)各地で日曜法律相談所や司法書士会館・役所などでの常設、定期的相談所を開設し、a. 多重債務者、個人再生・破産問題
b. サラサラ血液商法、キャッチセール、住宅リフォーム・寝具・呉服・貴金属などの強引な訪問販売などの悪質商法などの消費者問題
c. 虐待された女性や子供、高齢者の人権問題
d. ホームレス自立支援のための相談
などの問題につき相談員を派遣して法的サービスを行っている。
また、資力に乏しい人が法的なトラブルに遭った場合に無料法律相談を受けることができ、さらに必要な場合には、法律専門家である弁護士や司法書士を紹介して、裁判費用などの立替を行う日本司法支援センター(法テラス)の組織員としての司法書士を募集・派遣している。
(2)次世代を担う高校生などに対して、法教育・消費者教育などのテーマで講師を学校に派遣して、法律講座の開催を行うなどの法教育活動の推進
(3)成年後見センター・リーガルサポートや市町村の地域包括支援センターとの連携による高齢者問題、障がい者自立支援への側面的協力
(4)セクシュアルーハラスメソトの防止のための「女性とこどものための相談会」の開設など国 民に対する法的サービスの提供や人権擁護活動
- 会員に対する指導、連絡
(1)司法書士の資質の均質を図るため、登記、簡裁における裁判実務、成年後見、司法書士倫理などいろいろなテーマの研修会を開催し、年間最低コー単位の研修の受講を義務づけており、また、履修単位未取得会員に対しては会長指導を行い、研修会の受講を促進している。
(2)公益活動に関する規則を制定し、司法書士が積極的に各種相談会や委員会に参加することや、社会奉仕に参加することを義務化。
(3)受託事件の処理方法や報酬問題などで苦情を寄せられた会員の綱紀事案については、綱紀委員会を設置し、公正な立場で事案を分析し、適切な処分を行い、悪質な事案については注意勧告や会長指導など適切な処分を行っている。会員に対する連絡に関しては、不動産登記法、会社法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律など最近大幅な法改正などが相次いでいるが、それらの法改正に司法書士が対応できるよう情報を提供することが重要かつ欠かせないものになっている。
- オンラインへの対処
登記記録のコンピューター化やオンラインによる登記申請の環境整備が進められ、国からのオビフ
イソの積極的な利用の要請もあることから、登記情報のインターネットによる請求やオンライン登記
申請の普及促進のための研修、指導のため、司法書士会の役員や職員は大奮闘をしている。
被告五二名の民事訴訟と登記手続事件
2009年12月24日
- 事件の発端
依頼者の自宅にかなり近い土地で、先々代、先代、現在と使用占有してきていて問題が生じたことがない土地について、その一部が、県道拡張予定地にかかることになり、また、子どもたちの住宅用敷地としても使用したいため、権利関係を明確にする必要が生じた。
当初、当然先々代、先代と続いた自宅近くの土地ということであり、自宅については、先々代からの家督相続をしており、先代からの相続登記は受けていたため、この土地は、単純な相続登記漏れかとも考えられた(家督相続は旧民法上の制度で、基本的に、被家督相続人の最年長男子である子が最優先順位で、その被家督相続人の財産を、包括的に相続するものとされた相続制度。他の兄弟姉妹には、基本的にその相続権はなかった)。
しかし、資料確認をしてみると、先々代が、その弟に生前中に贈与していて、当代の依頼者であるご本人には、その相続権はないことがわかった。
しかし一方、ご本人は、その先代からその自宅に居住し、先代とともに同じ仕事に従事し、本件対象土地にも一時居住するなど、先代から当然自分が相続して所有しているものとして、先代が亡くなった後から数えても、二〇年以上も前から占有使用していた。
そうすると、事実関係として、現地写真の状況からだけでも、ご本人の占有使用の開始当初は、先代の亡くなった時であり、かなり明確な反対証拠となる何かが出てこない限り、ご本人はその土地を、民法の規定に基づいて、「その占有の当初にさかのぼって」時効取得しているものと解して、差し支えないと判断された。
- 権利関係調査と民事訴訟の提起の検討
委託を受けて、先々代の、すでに亡くなられていた弟さんの相続人を、住民票や戸籍、除籍を手がかりに調査した結果、外国に移住して居住地や生死も不明な方を含めて、五二名になることが、二年程度を要して公文書上確認できた。
この方たち全員から、ご本人の時効取得を認めてもらい、時効取得による所有権移転登記の必要書類をいただくことができれば、民事訴訟手続はとらずに登記をすることが可能である。
しかし、ご本人は、当然その大多数の方については、面識はおろか、名前さえ知らない。
そうすれば、事実上、民事訴訟手続をとり、時効取得による所有権移転登記請求の中立を、五二名の相手方に対して行い、前述した事実関係とその証拠資料を裁判所で確認してもらい、「勝訴」判決に基づいて、ご本人名義への所有権移転登記申請をすることにせざるを得ない。
特別の事情がない限り、裁判所に認められるものと考えられた。
- 民事訴訟の提起と経過
最も問題になった、外国へ移住し、行方不明の相続人については、裁判所からの書類の「送達」について、その外国の領事館に調査の嘱託を裁判所から行ってもらい、都合二年程度経過の後、「公示送達(相手方行方不明の確認ができる場合に、裁判所に公示して一定期間後訴訟書類が送達されたとする制度)」によって送達がされ、その後、ご本人が裁判所の期日に出席し、事実関係について裁判官から数点聞かれた後、判決期日が指定され、事件取組開始から、五年目に、勝訴判決がもらえる予定となった。
- 解 決
最終的に、判決の送達手続にさらに、確か一年程度かかった後確定し、確定したことの証明(「確定証明書」)を取り寄せ、それを判決に添えて、所有権移転登記を行い、最終的に解決したのだが、依頼を受けてから七年が経過していた。
相続預金の払戻
2009年11月16日
- 死亡による入出金停止
「夫が死亡したので、その妻が葬儀費用を夫の預金から払い出して葬儀をしようと銀行へ行ったところ、断られた」ということはよく聞かれる話である。
金融機関としては、顧客の預金を預かっているので、善良なる管理者としての立場から当然のことであり、預金顧客の死亡の事実を知った場合は必ず入出金停止などの手続をとる。なぜかというと、金融機関が預金者の死亡の事実を知りながら当該預金の払戻請求に応じれば、免責約款は働かないためである。
司法書士として相続登記の手続を依頼されるのは一般的だが、近年は相続預金の払戻手続のお手伝いをするケースが多くなった。
相続預金も結構高額で数千万円という場合もある。
- 払戻手続の書類作成等の依頼
正月明け早々、筆者の事務所から120キロメートル離れた他県に在住のSさんという方が来所され、「夫は勿論子供もいない独り身の叔母がM市で死亡し、甥である私が親族の協力を得て葬儀を執り行ったところですが、叔母には不動産らしきものは全くないけれど、叔母が住んでいたM市の銀行等に預貯金が数千万円ある」ことが判明した。Sさんは「叔母の相続人である年長者から、お前さんが、相続人の中で一番若く身軽に動けるので相続人を代表して相続預金の払戻手続してくれ」と頼まれたので、各金融機関に行き、おのおのの金融機関の指示で相続預金の払戻手続のため戸籍を集め、所定の用紙に各相続人の印鑑証明書や署名捺印をもらった。
しかし、相続人の一人は、東京都K市に在住していた後、数十年前にアメリカに行ったまま全く連絡がとれないし、もう一人は現在H県の精神科病院に入院中で、どうしてよいのかわからず、M市の銀行の窓口にて相談したところ、銀行でもどうすることもできないので、弁護士か、司法書士のところへ行って相談したほうがよいと言われた。そこで、筆者をよく知っている友人から紹介されたので相談にきた、とのことであった。私は、代理はできないが、裁判所へ提出する書類の作成等についてのお手伝いはできることを伝え、依頼を受けた。
- 払戻手続の完了
早速、依頼者のSさんから、どこの金融機関にどのくらいの預金があるのか、相続人は何名で、音信不通の方の行方、精神病院に入院されている方はどのような状況なのか等々について詳細を聴き取り、依頼者が持っていた相続書類を預かった。
まず、数十年前に渡米し、連絡のとれない相続人については、住民票を取り寄せたところ、それまで住んでいた東京都K市の住所のままになっており、アメリカでの所在場所を探したが、死亡した知らせもないまま、どこに居住しているのか全く不明であった。
そこで家庭裁判所に不在者の財産管理人選任の申立を行った。次に、現在精神科病院に入院中のWさんは夫とは離婚し子供もいないとのことで、早速、100キロメートル離れたH県にある精神科病院に入院加療中のWさんに面会したい旨のアポイントをとり、看護師立会の下面談を行った。Wさんに対して型通り、生年月日、干支等を尋ねたところ、おおむね正確に回答をしてもらったものの、若干不安があった。そのため、ドクターの所見を聞くべく、数日後再度アポイントをとって精神科病院に行き担当医と院長先生に会い、Wさんの症状・判断能力等々について所見を伺ったところ、物忘れはあるものの落ち着いている時の判断能力等については別に問題にすることはない、との所見をいただいた。
そして、早速Wさんに相続預金の払戻手続書類に署名捺印をしてもらった。依頼されてから約半年経って滞りなく相続預金の払戻手続も完了し、Sさんら相続人等から感謝された次第である。
離婚と公正証書
2009年10月01日
- 離婚相談
五月のゴールデンウィーク明けの昼下がり、一人の女性が私の事務所を訪れた。以前女性の亡父の相続登記を行ったことがあった。今回は彼女の離婚についてだという。
彼女のご主人は、俗にいう「いい人」ではあったが、性格的に弱いところがあり、小さな借金を。二度ほどしてしまい、そのたびに彼女の両親が肩代わりしたのだという。そして今は、ほかの女性と暮らし出したそうである。彼女は、子供が大学を卒業するまでは我慢しようと思っていたが、幸い子供が、離婚を勧めてくれたそうである。
- 不動産の名義を書き換えたい
夫婦共有の一戸建てがあるが、夫は自分の持分を妻名義にすることに同意しているという。そこで、まだ住宅ローンの返済が残っているのか聞いてみた。すると、あと三〇〇万円ほど残っているとのことである。私は住宅ローンの契約書に、不動産所有権の名義書換が借入債務の期限の利益喪失事由として記載されているかを確認し、記載されている場合には銀行に承諾を求めるようアドバイスをした。期限の利益喪失事由が記載されているにもかかわらず、銀行の承諾を得ずに名義書換を行うと、直ちに残債務の全額返済請求を受けたり、抵当権を実行されたりするからだ。
銀行に承諾を求めたところ、依頼人には父からの遺産であるアパートの家賃収入が運よくあったので、承諾してくれた。
また、財産分与として居住用不動産を譲渡する場合の特別控除を受けるためには、持主と特別の関係にない人に譲渡する必要があるため、離婚後に財産分与の手続を行ったほうがよいことも伝えた。
- 慰謝料よりも養育費が大切
依頼人は、慰謝料はいらないが父親らしく養育費は支払ってほしいと希望しており、これを書面にしてほしいとのことだった。そこで、公正証書にすることを勧め、以下のような項目を記載することを提案した。①離婚の合意、②親権者を定める旨、③○○年○○月○○日~○○年○○月○○日までの、子○○○の大学卒業まで月五万円を○○銀行○○支店(口座番号)に振り込んで支払う旨、④③の金銭債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨、である。
依頼人は、公正証書で約束事を決めたうえに、支払わないときには強制執行までできることに喜び、強制執行の一文だけでも気の弱い夫は支払わなければならないプレッシャーを感じるだろうと言った。
- 年金も少しは分けてほしい
さらに、私は離婚時年金分割制度を思い出した。
この制度を利用するためには、手続として、 ①社会保険庁に「年金分割のための情報提供」を請求、 ②同長官からの「年金分割のための情報通知書」の交付、 ③「年金分割の割合」について夫婦間での合意、 ④分割合意の書面化(公正証書または公証人の認証を受けた私署証書で)、 ⑤社会保険庁長官に対する年金分割の請求、 ⑥同長官からの「標準報酬改定通知書」の交付、が必要となる。
分割合意も公正証書に盛り込もうということになった。
- 幸せは自分の手で
数力月後、依頼人は夫と公証人役場で公正証書を作成し、二人で市役所に離婚届を提出した。
そして、その足で二人して私の事務所に来られ、不動産の離婚に伴う財産分与を登記原因とした所有権移転登記に必要な書類を置いていった。
依頼人の、夫が自分以外の女性と付き合っていることを知ったとき、自分ほど不幸な人間はいないと思ったが、幸せになるには自分から幸せになろうとしなければいけないのだと思った、という依頼人の言葉が印象的だった。彼女の笑顔を見て、幸せも笑っている人のところに来るのだとつくづく感じた。
難しいマイホーム購入
2009年08月27日
- はじめに
過日、知人の息子さんから、マイホームを買うので、登記の連絡を受けた。
分譲会社から一戸建の建売物件を4000万円で購入するため二ヵ月前に売買契約をし、手付金300万円を支払った。銀行から4000万円を借りる予定である。建物は九割方できているが、分譲会社が経営破綻した。会社は、残金を払ってもらえば、建物を完成し引き渡すという。銀行は土地に担保が付いているので、抹消登記手続をしてもらわないと融資できない、との話であった。
- 相談者の事情
相談者は運送会社に勤務しており、40歳で年収400万円、専業主婦の妻と子供二人がいる。親からの資金援助は受けない。子供が通う幼稚園の近くの建売物件であり、夫婦共に気に入ったのでぜひ買いたいとのことである。
- 名義書換手続
建売の場合、建物は買主名義で建物表題登記手続、所有権保存登記手続をする。土地については、担保権等制限物権を消したうえで、買主へ所有権移転登記手続をする。そして、銀行の住宅ローンを担保するため土地および建物に抵当権設定登記手続をする。今回の場合は、分譲会社名義の土地に銀行担保(債権額1億4000万円)が付いていたためこれを抹消登記することが必要となる。
- 資金計画に問題ないか
住宅ローンを利用して、マイホームを購入する場合、返済可能な借入額は、一般に年収の五倍から六倍と考えられる。
ところが、本件では、年収の10倍の借入を予定している。
常識的には、無謀な資金計画といわざるを得ない。35年の返済期間中、勤務先会社の倒産、給与所得の大幅減、本人の病気、家族の病気等予期しない出来事に遭遇することもある。当初3年間は、金利が1%くらいに据え置いてあるが、4年目以降は3%くらいになると思われる。月々返済額は、当初12万円程度であるが、4年目以降は、月18万円くらいとなり、返済していくことが相当厳しくなる。子供が成長するにつれ、教育費、学費の負担も増える。マイホームの保有・維持管理費もかかる。破綻会社から家を買うと今後の手直し、修繕等もうまく進まないことも考えられる。
本人に対し、以上の説明をし、「奥さんと話し合い、再考したほうがよい」旨を伝えた。
本人の両親も同席していたが、私と同意見であった。
- 再度の面談
一週間後、再度相談したいとのことで、話を聞いてみると、妻ともよく相談したが、大変なことは承知のうえで、やはり購入したいという。私は、人生の先輩として、不動産取引実務の専門家として、前回詳しく助言したつもりであったが、相手に十分伝わっていなかったことに落胆した。
再度、無謀な借入であることを説明した。本人は、むっとした表情をする。それでも、伝えるべきことは、伝えた。
- 分譲会社のセールストーク
家賃と同程度の金額を支払えばマイホームが買える。家賃を払い続けても、建物は自分のものにならない。マイホームを買えば、土地建物が、自分のものになる。どちらが得か、賢いか。
3、40歳代のマイホーム購入予定者の中には、セールストークを鵜呑みにして、リスクに対する情報能力が不十分なまま、無謀な判断をしてしまう人が少なくない。
- 結 論
本人は、最終的には、完全な所有権移転を受けられなければ、物件購入を諦めるとのことなので、契約解除の意思表示を内容証明郵便により行うこととなった。
分譲会社が経営破綻し、物件の引渡が遅滞していたことが幸いした事例である。もし、遅滞なく引渡がなされていたら、本人はいずれ生活破綻する可能性が高かったであろう。
日本のよさ再発見
2009年01月09日
政府は中小企業の資金繰りの支援を含めて総合経済対策を発表し、景気対策に本腰を入れていますが、これから一、二年は厳しい経営環境が続きそうです。このたびの経済危機は1929年に発生した世界大恐慌に匹敵する「100年に一度」といわれる深刻な状況ですが、元はと言えばウォール街の投資銀行が市場原理主義に基づいて主導した金融バブルの崩壊によるものです。強欲な金融資本主義によって大儲けをしたウォール街に、莫大な公的資金を投入しなければ世界経済が崩壊しかねない現状を見ていると、マクロ経済の視点からはやむを得ないかもしれませんが、庶民感覚からは抵抗感があるように思われます。
今、世界中が金融危機の影響で経済問題にばかり目が向いていますが、環境破壊や温暖化ガスの排出の増大によって、地球は危機的状況に陥っていることを忘れがちです。これを好機としてとらえ、世界中が協力をして地球にやさしい節度ある経済発展に思い切って舵を切るための知恵を出し合い、政策を立案・実現していくべきです。我が国は、省エネ技術をはじめとした世界に誇れる地球にやさしいすばらしいモノ作りの文化があるわけですから、今こそ世界に発信し主導的役割を果たしていくべきです。これからの世界は経済至上主義と決別し、心の時代へと変化していくように思います。物質的豊かさよりも精神的なゆとりと満足感の充足が求められる心の時代へと大きな変化が訪れるような気がします。アメリカも大量消費型社会からの転換は避けられないようにも思います。
失われた10年のあと、我が国はアメリカの唱える新自由主義経済に追随し、アングロサクソン的弱肉強食の過度な競争社会の出現により格差と貧困が拡大してしまいました。このたびの金融危機は日本の歴史文化の再検証と再発見を通して、日本人が長年にわたって培ってきた人にやさしい社会を再構築するための好機であるように思えます。
コラムについて
2008年10月13日
コラムを掲載していく予定です。
ユーザーの皆様のお役に立てるようなコラムを掲載していきます。
どうぞ、お楽しみに。



