保存書類不足で既存の法人変更手続ができない!
2010年08月16日
- 一般社団法人および一般財団法人
平成20年の12月1日から、「一般社団法人および一般財団法人」の制度が開始された。
営利・非営利の基準による分類ではなく、事業による利益の剰余金という財産の分配、および法人を解散して終了する時点での残余財産の分配のどちらについても、その法人の構成員(社員)が「受けることができる」という定めを、その法人の根本規則である定款に記載(記録)しても、その定めの効力はないものとされる法人と(「一般社団法人または一般財団法人」)と、逆に、「剰余金や残余財産の分配の両方をすることができない」という定めを法人の定款に記載(記録)しても、その定めの効力はないものとされる法人(会社)という基準で、大きく二つに整理されることになり、いずれも行政庁の認可等を要せず設立が可能になった。
既存の「社団法人」や「財団法人」について、平成20年12月1日から5年間は、特別な手続をとらなくても、これまでどおりの制度の適用が受けられるが、5年の間に新しい制度の「公益社団法人」や「公益財団法人」に移行するか、「一般社団法人」または「一般財団法人」に移行しないと、解散したものとみなされてしまう。
- 長期にわたる変更事項の放置
ところで、法人に関する登記で思い出した事業がある。
休眠状態でなくても、法人として活動し財産も蓄積しているのに、長期間、役員の変更その他の登記簿に登記された事項の変更登記を行っていない法人もあるが、以前、ある事情により30年近くの間変更登記がなされなかった法人の登記の委託を受けた。
確認資料として、30年ほど前に登記申請を行った際に、登記所から付された付箋がいくつも付いた申請書類と添付書類を預かった。
さらに、その後の30年間の議事録その他法人運営上の保存資料について、基本的に2年ごとの理事の任期満了改選による変更事項と、それを証明するための議事録、委嘱状、承認承諾書、退任・死亡証明書等を照令した。
また、理事一人ひとりについて、誰が誰の後任者となるかの確認、定款規定での任期とそれぞれの添付書類の照合、その間の理事の住所氏名等に変更があった場合にその照合が付かないものについての追跡調査、定款変更の認可を受けたものについての認可書の確認、追加証明の取寄せなど、さまざまな作業に追われた。
これらの作業については、保存資料が多少誤っていても、一つひとつ丁寧に負うことにより基本的に確定できる。
- 直接証明する文書がない
問題は、法人の内規で保存期間が定めてあるために、すでに廃棄済となっていた書類が少なくなく、また、定款の解釈として必要と思われるのに、慣習的に保存してこなかったものがあるという点である。
ただ、法規では、「......を証明する書面」等の規定をしているため、このように直接証明する文書が保存されていない場合、関係者の証言等を上申者として提出することにより、直接証明する文書に代えることができる場合がある。
この点について、詳細は割愛するが、裁判所により何らかの手続上の確定を行ってもらって登記をせざるを得ないことも念頭におきつつ、可能な限り上申書等の文書を揃え、何回か法務局とやりとりを行い、法務局に出直すなど時間も労力もかけたお陰か、裁判所の手続を利用せずに登記を完了することができた。
最終的に、変更事項である理事の総人数を計算してみると、250名前後、OCR用紙で37枚の登記用紙となった。



