司法書士・行政書士小川貴彦事務所

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コラム

相続預金の払戻

2009年11月16日

  • 死亡による入出金停止
 「夫が死亡したので、その妻が葬儀費用を夫の預金から払い出して葬儀をしようと銀行へ行ったところ、断られた」ということはよく聞かれる話である。
 金融機関としては、顧客の預金を預かっているので、善良なる管理者としての立場から当然のことであり、預金顧客の死亡の事実を知った場合は必ず入出金停止などの手続をとる。なぜかというと、金融機関が預金者の死亡の事実を知りながら当該預金の払戻請求に応じれば、免責約款は働かないためである。
 司法書士として相続登記の手続を依頼されるのは一般的だが、近年は相続預金の払戻手続のお手伝いをするケースが多くなった。
 相続預金も結構高額で数千万円という場合もある。

  • 払戻手続の書類作成等の依頼
 正月明け早々、筆者の事務所から120キロメートル離れた他県に在住のSさんという方が来所され、「夫は勿論子供もいない独り身の叔母がM市で死亡し、甥である私が親族の協力を得て葬儀を執り行ったところですが、叔母には不動産らしきものは全くないけれど、叔母が住んでいたM市の銀行等に預貯金が数千万円ある」ことが判明した。Sさんは「叔母の相続人である年長者から、お前さんが、相続人の中で一番若く身軽に動けるので相続人を代表して相続預金の払戻手続してくれ」と頼まれたので、各金融機関に行き、おのおのの金融機関の指示で相続預金の払戻手続のため戸籍を集め、所定の用紙に各相続人の印鑑証明書や署名捺印をもらった。
 しかし、相続人の一人は、東京都K市に在住していた後、数十年前にアメリカに行ったまま全く連絡がとれないし、もう一人は現在H県の精神科病院に入院中で、どうしてよいのかわからず、M市の銀行の窓口にて相談したところ、銀行でもどうすることもできないので、弁護士か、司法書士のところへ行って相談したほうがよいと言われた。そこで、筆者をよく知っている友人から紹介されたので相談にきた、とのことであった。私は、代理はできないが、裁判所へ提出する書類の作成等についてのお手伝いはできることを伝え、依頼を受けた。

  • 払戻手続の完了
 早速、依頼者のSさんから、どこの金融機関にどのくらいの預金があるのか、相続人は何名で、音信不通の方の行方、精神病院に入院されている方はどのような状況なのか等々について詳細を聴き取り、依頼者が持っていた相続書類を預かった。
 まず、数十年前に渡米し、連絡のとれない相続人については、住民票を取り寄せたところ、それまで住んでいた東京都K市の住所のままになっており、アメリカでの所在場所を探したが、死亡した知らせもないまま、どこに居住しているのか全く不明であった。
 そこで家庭裁判所に不在者の財産管理人選任の申立を行った。次に、現在精神科病院に入院中のWさんは夫とは離婚し子供もいないとのことで、早速、100キロメートル離れたH県にある精神科病院に入院加療中のWさんに面会したい旨のアポイントをとり、看護師立会の下面談を行った。Wさんに対して型通り、生年月日、干支等を尋ねたところ、おおむね正確に回答をしてもらったものの、若干不安があった。そのため、ドクターの所見を聞くべく、数日後再度アポイントをとって精神科病院に行き担当医と院長先生に会い、Wさんの症状・判断能力等々について所見を伺ったところ、物忘れはあるものの落ち着いている時の判断能力等については別に問題にすることはない、との所見をいただいた。
 そして、早速Wさんに相続預金の払戻手続書類に署名捺印をしてもらった。依頼されてから約半年経って滞りなく相続預金の払戻手続も完了し、Sさんら相続人等から感謝された次第である。

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